scripta manent.

文章は残る。

OK、陽性ゲット。

流石だよな、俺たち。

 

100万年前のネットスラングはさておき、新型コロナに罹患し、つい昨日まで臥せっていた。

今になって新型コロナに罹患するというのは、なんとなく夏カゼを引いたとか、冬に蚊に食われたとか、そういったバツの悪さがある。

コロナ禍初期と比べれば公的な情報源も増え、一般人でもおいそれと新型コロナ関連のデマをつかむことは減っただろう。

だから今さら病床の様子にルポ的価値があるとも思えないが、かかってしまったものは仕方がないので、物書きらしく、発症から療養までどんな様子だったのかを記録しておきたい。

私は医学的なプロフェッショナルではないし、この記録も「治療のアドバイス」ではない。あくまで一個人の体験談であることだけは明記しておく。

でないとGoogle様に怒られるので。

発症~診断

発症したのは12月19日(月)早朝。

カゼをひいたときに近いノドの違和感をおぼえた。

実は前日夜の時点ですこしガラガラする感じはしていたので、予感はあったといえばあった。

そもそも同居人が2日前から明らかにコロナらしい症状で寝こんでおり、私はその看病をしていたので「ああ、来てしまったか……」という軽い諦念が湧いたほどだ。

すぐに熱を測ったが、この時点では36.5℃と私としては平熱だった。

そのため、まだ「乾燥で少しノドがイガイガしてるだけかもしれない」と希望的観測をいだく余裕さえあった。

そのとき時刻は8時45分。

私は土曜のうちに区の発熱相談センターで聞いておいた医療機関*1に、診察の予約電話をかけた(土日はどこの発熱外来も当日分の診療を終えていたため、同居人の診察も済んでいなかった)。

さいわい、当日15時45分から診察予約が取れたので、それまでは自宅で待機をする。

体調の悪化は午後になって顕著になった。

午前中こそまだ同居人の看病をしていたが、次第に私も熱が上がりはじめ、正午を回るころには37℃を超えていた。

その時点で発熱とノドの違和感だけにとどまらず、悪寒・節々の痛み・頭痛・かるい目まいとさまざまな症状が一挙に押しよせ、私はとても弱っていたのだった。

さいわい診察の予約ができたた医院は、自宅から徒歩5分程度の場所に位置する。それでも同居人と2人、酔っ払いのように体を支えあってようやくたどり着いた。

結局、病院の受付時に測った体温計は38.7℃を示していたと記憶している。

さすがに土日ほど診察待ちの患者でごった返してはいないようで、待合室には私たちのほかに家族連れが一組いるだけだった。

それでも私たちが診察に呼ばれたのは16時30分ごろ。診断が下り、行政支援関連の諸説明を受け、処方薬を受け取ったのが17時過ぎだったはずだ。

状況は医院によって異なると思うが、診察の前後の予定はある程度余裕を持たせておくほうがよいだろう。

時期や症状から新型コロナではなくインフルエンザの可能性もあったため、検査は両方おこなわれた。

例の、プラスチックの「こより」のようなものを鼻につっこみ、検体を取るタイプの検査だ……。

1回の採取でコロナもインフルも検査できるキットで本当によかった。

熱と倦怠感でもうろうとしており半ば麻酔されているような状態とはいえ、2度もあの棒を鼻に差し込まれたくはない。

検体採取から10分ほど待ち、結果が出た。

コロナ、陽性。

ほぼ分かっていたようなものだが、医者の口から改めて聞くと多少深刻な気持ちにはなるものだ。

ところで私の行った医院は換気のために玄関が開放されており、待合室がとても寒かった……。

冬用のコートを着ていても足もとが寒い。

ブランケットを借りればよかったと、後から思い至った。

療養中

一応症状は落ち着いたものの、今も療養中ではある。食事や排泄など基本的な日常動作以外では、ほぼ布団でごろごろしている。

食欲はあったので、お粥やゼリー飲料などを中心に食べたいように食べた。

水は日に2リットル以上は飲んだと思う。

病院で処方されたのは、葛根湯・解熱剤・除痰剤・うがい薬の4種類。それぞれ病院で説明された役割は以下の通り。

  • 葛根湯:ノドの痛み、悪寒、関節痛などの不快な症状の軽減
  • 解熱剤:熱を下げる。ただし38.5℃以上のときのみ使う
  • 除痰剤:痰・鼻水を排出しやすくする
  • うがい薬:ノドの炎症を抑える

療養中、個人的にいちばんあって良かったと思うのは葛根湯だ。

あまりに熱が高ければ悪寒や関節痛などに苦しむことになる。またノドの痛みはただ呼吸をすることさえ辛くなるものだ。

これらの症状一つひとつは大したことがないかもしれないが、全部が一気に襲いかかるとなれば話は別。

ただ寝ているだけでもかなりの体力を消耗する。

葛根湯はこれらの症状をかなりの部分抑えてくれた。おかげであまり不快な思いをせず、おとなしく寝ていることができたと思う。これによって体力の温存・回復ができた面はあるはずだ。

病院で処方された葛根湯と、市販のものに差異はたぶんない。

病院でもらう方が保険が効いて安いくらいか。

解熱剤はある程度高熱が出たときだけ飲むように指導された。

発症初日~3日目まではちょくちょく服用していたが、4日目以降は必要ないくらいに熱が下がった。

療養している間にも症状が結構移り変わっていったのが面白い(苦しんでいる間はそれどころではなかったが)。

私の場合、最初は前述のとおり「ノドの違和感」からはじまった。

これは、何もしていないのに「カラオケで5時間連続で歌ったあとのノドになる」という感じ。

水を飲んでもカサカサした感覚があり、ツバを飲むと若干扁桃腺のあたりにつっかえるような感触を覚える。

それと同時に、平熱プラス0.2~0.4℃くらいの体温になる。

私は平熱が36.2±0.1℃くらいなので、「36.5℃」は少し高めである。

意外と平熱を知らない人も多いのかもしれない。

私は普段からジムなどで体温を測っているからたまたま把握していた。

今は色んな施設の入場時に測る機会があるので、流れ作業にせずにざっくり覚えておくと役に立つはずだ。

次に、発症してしばらくはジワジワと上がっていた熱が、急激に上がるタイミングが来る。私は39℃弱まで上昇した。

熱由来の不調はこの時点ではさほど感じない。立つと少しフラフラするが、歩行にも支障はない。

さらに時間が経つと、ノドの痛みが強くなり、鼻水・痰が出るようになる。

これとほぼ並行して咳が頻繁に出るようになる。

咳はかなり尾を引く。熱が下がっても咳が止まらない。

個人的にはこの段階が一番つらかった。

咳はノドの痛みを助長するし、体力も削られる。呼吸も乱れてくるしいし、寝てても出るから自分の咳で起こされることもある。

この段階ではマスクが症状の辛い部分を多少和らげてくれるかもしれない。

咳の勢いを殺してノドの負担を抑えてくれるし、鼻が詰まって口呼吸になっても口の中が乾かないで済むのだ。

現在

現在、私が発症してから都合5日目にして、ようやく日がな寝て過ごさなくてもよい程度には症状が治まった。

まだ若干、悪寒がしたり、咳や鼻水が出たりはあるが、熱は引いた。

こうしてまとまった分量の文章を書けるだけの元気も取り戻している。

まだまだ楽観視は禁物だが、この土日おとなしく過ごせば週明けには社会復帰できることだろう。

今回は私も同居人も重症には至らず、1週間足らずで回復できて幸いだった。

貴重な年末の業務日数がゴリゴリ削れ、かつ仕事自体はぜんぜん進んでいないという最低な事実が残ったが、まずは快癒を祝っても良いのではないだろうか……。

最後にこれを読んでくれた人に何か言うとしたら、ひとつだけ。

マジでどこでウイルスもらってくるか分からないから、覚悟だけはしておくといい。

人の多いところでは必ずマスクをしていたし、帰宅後の手洗い・うがいなんかも人並みにはしていたはずだ。

自宅で医療機関並みの衛生管理が難しい以上、警戒しててもかかるときはかかる。

そんなときに、この体験談が何らかの役に立ったらうれしい。

とはいえ原則的には医者と行政の指示に忠実に動くのがベストであることはいうまでもない……!

皆さん、なにとぞご自愛ください。

*1:現在は、発熱など新型コロナ感染が疑われる症状があった場合、「かかりつけ医のいない人」はまず発熱相談センターへ連絡することが推奨されている。発熱相談センターへ連絡すると、最寄りの発熱外来のある医療機関を複数箇所教えてくれるため、自分でイチから探すより効率的だ。電話もそれほど待たされずにつながることが多い。

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